ちょwおまw
 何この短いスカートの制服(多分)は。こんなもの昨日部屋にあったっけ?おかしいよねぇ。おかしいですよ、ねぇ!私が先日まで来てた制服はどこに行ったのかな?あ、洗濯機に入れたんだった。
 いや、洗濯機に入れたのはYシャツだけで、スカート・ブレザー・セーターはクローゼットにしまったはず。で、どこにいったのかな。いくら家主でも人の物を勝手に動かすのはちょっといけないんじゃないの?
 ということで


「イギリスぅうああああ!!!」
「朝からうるせーよ!」


 発狂した。というのは嘘だけどパジャマのままリビングに駆け込みイギリスの名前を叫んだ。
 そこまで執着するものでもないのかもしれないけれど、地元じゃ可愛いって有名だったりするし毎日着てるものだし…ついでに私の血と汗と涙が染み込んでいて結構思いいれのあるものだ。そんなもの無くなったらもちろん焦るわけで。


「わ、わだっ、わだじのぜい、ふぐっ!」
「落ち着け!ちゃんと話せ!」


 イギリスが凄い迷惑そうな顔をするから、鼻水と涙でべちゃべちゃになった顔をテーブルにおいてあったハンカチで拭いた。イギリスから「げっ。昨日できたばっかりの刺繍が…」って声が聞こえたような気がしたけど、気にしないことにした。なんせこいつは私の制服を勝手にどこかにやったんだから。


「ぷはー。うん。それで私の制服は?」
「その事か。には今日から俺達が通っている学校に通ってもらうことになる。だから部屋にあった制服を着てくれ」
「は?」


 答えになってナイヨ?っていうか学校とはなんぞや?学校?あれ、こいつら国だったよね?それなのに学校?何言ってんの?だめだこいつ…早くなんとかしないと!


「なに百面相してるんだ?」
「いや、だって学校って何言ってんの?」
「そういえば話してなかったな。俺達が通ってる学校ってのは…」


 というわけでイギリスの言う学校について説明を受けた。話によると国として生を受けたる者が通う学校らしい。


「私、ただの人間だということを自負してるつもりですが」
「俺はその学園の生徒会長だからな。お前がたとえ国じゃなくても俺がなんとかすれば大丈夫だ」
「それって職権乱用になるんじゃないの?」


 イギリスが「うっ」と少しうなったけど「弱肉強食だからいいんだよ!」と、わけわからないことを言い出した。たまに変なこと言うよねこいつ。しかも白目で。


「まぁ、学校は好きだから別にいいけど、だから私の制服は?」
「W学園に通う以上、その制服を着るべきだとは思わないのか?」
「だが断る。こののもっとも好きな制服は我が校の制服だからだ」


 大好きな某漫画の超有名なセリフを引用してイギリスに言う。きっと今度は私が「こいつ早くなんとかしないと!」とか思われているだろうけど別にいい。元の世界にいるときからよく言われてきたことだし。もう慣れっこだ。
 それからもう少しだけ「どこ?」「部屋にあったのを着ろ」などというやりとりを繰り返して、これ以上やりとりをしても無駄だと判断してくれたのかイギリスは制服のある場所を白状してくれた。場所はイギリスの部屋。え、何それ。もしかして、まさか、こいつ…


「まさか、後日ブルセラショップに売ろうと?
「そんなわけあるか!」


 さすがにブルセラはないだろうとは思うけど、ノリで言ってみたらイギリスはつっこんでくれた。イギリスは呆れからくるため息を一つ吐いたあと、真顔になって


の着てきた制服だとW学園に行った際に目立つだろう。入ったばかりで目立つのはキツいと思ってだな…」


 と言ってきた。
 「別にお前のためじゃなくて俺が平和な学園生活を送るためだからな!」とか慌ててつけたしてきたけど…。まぁ、好意は受け取ってあげようかな。転入生って時点で目立つのは必至だよ。って言うのは控えた。私の考える好意を受け取るっていうのはそういうものだ。
 でもやっぱり私が着てきた制服を着る、といことは譲れない。


「そんなに大事なものなのか?」


 ちょうど制服について考えていたときにイギリスが質問してきたので「タイムリーだなぁ」と言いながら質問に答えた。私がこの制服を大事しているのは、確かに可愛いからという理由もあるのだけれど、


「行ってる高校が進学校の金持ち学校なんだよ。金持ちな分、設備とかいいし、あと大学への進学率が凄いよくて行けるなら行きたいなぁーって思ってたわけ。でも、うちね、母子家庭で…父親から養育費は貰ってるらしいんだけど若干家計がきついわけよ。だけどお母さんは行きたい学校へ行きなさいって言ってくれて。それなら絶対行こうと思って、すっごい勉強して、受験して、合格して、入学したの。だから、まぁ思いいれのある一品なわけですよ。それに制服って高いしさ」


 一気にそう言うと、イギリスは「悪かったな…」と謝ってきた。別に謝る必要はないし、私も説明する必要のないところまで言っちゃったかなーと思った。「母子家庭」とか言うと大抵の人は「傷に障ってしまった」って思うもんだし。
 とりあえず制服の場所がわかったので着替えることにした。
 …あれ、ちょっと待って。今だけで何分の時間を無駄にした?


「ねぇイギリス」
「なんだ?」
「時計を見て」
「?…あぁ。っておい!」


 あ、やっぱり。


「家を出るまであと5分しか無いじゃねーか!」
「DESUYONE☆つーか朝ご飯食べてないんですけど!死ぬ!」
「朝飯は購買で買えばいいから早く着替えろ!」


 朝っぱらから慌しいし、朝ごはんも(イギリスのは食べたくないので自分で作ろうと思ったけどそんな時間もなかった)食べれなかったけど、こんな朝もいいなぁって思った。



――――――――――



 無事に私の高校の制服を来て、イギリスと一緒にW学園とやらに馳せ参じた(遅刻ではないけど職員室に行かないといけない)わけだけど…


「デカッ!」

 
 何これ!デカッ!つーかデカッ!大事なことだから二回言っちゃったよ。本当にデカイな…。私の行ってる高校も結構大きい方だけどさすがにこれには負ける。
 到着して外観を眺める暇もなく(デカイことしかわからない)、すぐに校舎に案内された。慣れたように足早に歩くイギリスを必死に追いかけて職員室へ向かう。


「失礼します」
「失礼してまーす」


 職員室に入るときのお決まりの挨拶(私の中で)をしたらイギリスに頭を小突かれた。何気に痛くて抗議しようとしたけど、実際私が悪いのでやめた。
 小突いた?俺はそんなことしてません的な顔をしてイギリスは一番近くにいた先生に話しかけた。


「すいません。例の転入生を連れてきたんですけど、亞州クラスの先生はいらっしゃいますか?」
「おや、イギリスじゃないか。その子が転入生かい?ちょっと待ってな」


 イギリスが敬語を話している!?
 学校の大きさ、内装の綺麗さも素敵だけど、敬語を話すイギリスなんてのは新鮮すぎて笑えたので学校に来たのは正解だなって思った。
 しばらくするとさきほどイギリスが話していた先生ともう一人の先生がやってきた。


「おはようございます。隣にいるのがです」
「初めまして。です。これからよろしくお願いします」


 イギリスが私を紹介するのに倣って私も軽く自己紹介する。「でもイギリスの野郎のせいでいきなり来てすいません。全部こいつのせいです」と言おうとしたけど、また小突かれると思って自重した。よし、私ガマンできてる!


「よろしくお願いします。…あれ、うちの制服ではないですね」


 予測はしていたけど、先生に指摘されてしまった。


「転入生なので勘弁してください!」
「制服は届いてるはずですよね?」
「いいえ!あんなミニスカ知りません!
「知ってるじゃないの!それに”あの”イギリス君の家に届いてないなんてわけありません」
「先生、に言っても時間の無駄です。とりあえず今回は大目に見てやってください(”あの”…俺?)」


 転入して早々、私と先生の言い合いが始まりそうだったけど、早く教室に行きたいのか、イギリスがすかさず仲介してくれた。今朝のことで私の粘り強さ(頑固じゃあないッ!)をわかってくれたようだ。
 イギリスは今回と言ったけど、私は次回からもこの制服で来る気満々である。


「今回だけですよ」
「はい!(ごめん先生これ嘘)」
「では早速、教室へ向かいましょうか。ありがとうイギリス君。教室へ行っていいですよ」
「はい。失礼しました」


 先に職員室から出たイギリスが、一度私の方へ向いて「昼休みになったら日本と一緒に食堂へ来いよ」と言ってから去っていった。
 先生の案内で教室に向かう。私は日本人なので日本くんと同じ亞州クラスへ入る事になった。つーか私、国じゃないんだけど何学ぶの?という考えは捨てた。考えるだけ無駄だ。次元が違うのだから(いろんな意味で)。
 しばらく歩くと教室らしきものが見えた。まだ先生が来てないせいか壁越しに喧騒さが伝わってくる。今日も学校生活が始まるのを生徒達に告げるように先生がドアを開ける。


「はいみんな静かにしてー。今日から新しくみなさんの仲間になる子を紹介します…」


 というわけで、今日から私のニュースクールライフが始まった。って、結局朝ご飯食べてないじゃん!