いつもより目つき悪くね?と思ったら


「あれ、メガネは?」


 メガネがないじゃん!


「ぼっこれた」


 と言って、スーさんは胸ポケットから壊れたメガネをとりだした。
 スーさんは壊れたと言ったけど、メガネは蝶番のネジが緩んでいるだけのようだった。こんなもん私に修理させたらお茶の子さいさいよ!


「ちょっと貸して」
「ん」


 スーさんからメガネをうけとり、常備しているドライバーを取り出してさっそくメガネを直す。
 蝶番のネジをしめて、ほかにもテンプルやブリッジ、レンズに傷はないかを点検する。
 特に異常は無いよう。
 終わったついでにスーさんにメガネをかけてあげようと思ったけど…

 と ど か な い !

 はぁ…と心の中でため息をついてから、私は一旦下を向いてからスーさんのメガネを自分にかけた。
 ついでに「似合う?」と聞こうとしたらスーさんの顔が


「近い近い近い近い!」


 私はとっさに仰け反った。
 だけどスーさんの大きい体から逃れられるわけもなく、スーさんはまた近付いてきた。


「なじょしてがかける?」


 ごもっともです。


「えっと…なんとなく?ってか近いよ!」
「んだば眼鏡さ取ってけろ」
「うん」


 スーさんが「メガネをとったら離れてくれる」ような言いかたをしたので私はおとなしくメガネを外した。
 だけど、あれ…さっきよりスーさんの顔が近い…っていうか!く、唇が、あ、熱い…!?


「ななな何してんのーー!」
「修理のお礼さしただ。やんだ?」
「いや、じゃない、けど…」
「ならええど」


 いつも目つき悪くて怖いくせに、こんなときだけ優しい顔しちゃってさ。
 そんなんじゃ怒るに怒れないじゃんか…。かっこいい、し。


と、まってごんときゃ、眼鏡取るが…」
「それはダメ!眼鏡好きの私が許さない!」


メガネ分の距離


「めげぇ顔は近ぇ方がええ」
「真顔でそんなこと言わないでよ!」


 あとはこの天然っぷりをどうにかしてくれれば…。
 そこがまたいいってことに気付くのは、もう少しあと。







(会津弁わかりまてん^^)