季節は春。
 春は気温の変化が激しくて何かと体調を崩しやすい時期だったりするけど、今日は結構過ごしやすい日。ご飯も食べ終わって窓から入る陽光が眠気を誘う、そんなお昼休み。頭がぽわ〜んと、しながらも、あたしはロヴィにメールを送ってみた。あー、眠い。
 ちなみにメールの中身は…


 [本文]
 ぁああああ!!
 アントーニョが好きだよぉお!!
 なんかもうなんであいつぅうああ反則でしょ!くっそぉお!!
 一緒にシエスタしたいトマト食べたい作りたいいやいやいっそトマトっていうか子作りしたぃいいびゃあああ!!
 でもやっぱ無理!超近距離にいたら恥ずかしくてあたしがトマトになるわ^q^
 ロヴィ、なんでアントーニョと幼馴染なの?すんごい羨ましいんだけどもうほんとポジション交代してくれ選手交代してくれぇえ!!


 と、こんな感じかな。送信完了☆
 いやぁ、あたしったら本当に気持ち悪いね!…いつものことだよ。
 こんなメールを送ってはロヴィに気持ち悪がられるけど、何かと協力してくれるあいつにはいろいろと感謝している。お礼にじゃがいもでもあげよry嘘だよ。尻の軽そうな面倒見のよさそうな女子でも紹介するか。
 今日はなんてつっこんでくれるかな…。ちょっともう一回メール確認してみよう。


 [宛先]アントーニョ
 [件名]いつもの
 [本文]
 (以下略)


 …えっ?


 [宛先]アントーニョ←←←←


「いやぁあああああああああああああああ!!!!!!!」
「わっ…!、どうしたの?」
「どっどど、どうしようエリザベータ!いやだもうあたしアホじゃん超死にたいめっちゃキモイぃいい!!あたしウンコカスだわ…ちょっと飛び降りていいかな?」
「何言ってるの!?だめに決まってるでしょ!落ち着いて、ね?ここ4階だから」
「止めないでぇえ!!」
「とりあえず状況を説明してちょうだい…」


 眠すぎて送信先しくじったぁあ!!と携帯のメール画面を見せながら窓のサンに足をかける。ある意味で幸なことに、この教室にベランダは無い。そこらへんの男より漢なエリザベータさえいなければ、あたしは宙を舞うどころかとっくに三途の川を泳ぎきっているところである。…お願いだから三途の川を泳ぎきらせてくださいorz←まさにあたしの心はこんな感じ、LPはゼロだ。
 自分のダメさ加減と気持ち悪さに絶望をしていた時、教室のドアが勢いよく開け放たれた。ドアを開けたのは、あたしがメールを送った相手、アントーニョである。


ってこのクラスやなっ!」
「あびゃ、ばっ…!(落ち着け自分とりあえず)ご、ごめん…。気持ち悪かったよね」
…」


 もう飛び降りることは無いと判断したのか、エリザベータの、あたしを支える力が弱まる。解放されたあたしはへなへなと床に座り込んだ。今、あたしどんな顔してるんだろ…。そんなことどうだっていいや。はい、死刑宣告の覚悟は出来ました。なんとでもおっしゃってくださいませ…。


「あの、忘れて…。メールじゃなくて、あたしの」


 存在を…。
 そう言おうとしたとき、あたしは、ぎゅっと、アントーニョに抱きしめられた。驚いて固まっていると、アントーニョはこれ以上無いってくらいの(ロヴィ的には頭突きしたくなる)笑顔で言いよりました。


がトマトになる姿が見たいわぁ〜!今夜早速子作りしような!」


 その日エリザベータ(E:フライパン)は、アントーニョを使って世界新記録を叩き出した。



そう、失敗は成功のもと!