うそ…だろ?ど、どうなってんだ?!
 いつも通り昨夜は、ついでにスウェーデンのところから一時帰宅してるシーランドと一緒にベッドで三人で川の字になって寝ていたはずなんだ。
 シーランドがいたせいでとヤることヤれなくて畜生!って感じだったが、これはそれ以上に畜生な展開だぞ、えぇ?!


 なんでシーランドがデカくなってやがるんだ…!


「んー…せま、っ…」
「イギリスの、野郎…早く消えろ、ですよー…」


 狭いならとっとと起きてくれよ!そしてお前はなんつー寝言を言ってるんだシーランドォオオ!!
 しかもシーランド、体がデカくなってるのに合わせてか声変わりもしてやがる…。
 って…狭いってそういうことかぁあ!なにに抱きついてんだシーランドォオオ!!いくら可愛い弟でも許さねぇぞ!


「てめっ!何やってんだまったく…」


 ベリッ、とからシーランドを離すとその拍子にシーランドとが起きた。


「ふぁ…おはようございますですよさん」
「ん、おはようシー君んんんってぅうあああああああ!!!イギリスが二人ぃいいい?!!」


 いやぁああ悪夢ぅうぁああ!!とが言っているが俺も悪夢であってほしい。
 の発言に頭上に?を浮かべたシーランドが自分の体を確認した。そしてシーランドも


「うわぁあああああああ?!」


 と絶叫した。俺にも叫ばせてくれ。
 

「なっ、なんですかコレは!まさかブリタニアエンジェルの奇跡ですか?!ぅわあすぐに戻すですよイギリスの野郎!」
「俺じゃねーよ!起きたらそうなってたんだよ!」


 誰がシーランドを大きくするんだ?どこにも国として認められて無いっていうのにやるわけないだろ!こいつをデカくするなんていった奴はとんだ酔狂だな!


「シー君、なんで大きくなっちゃったの…?」
「シー君にもわからないですよ…」
「わかったら苦労しねぇよ」
「それはそうだけど…」
さんは小さいシー君の方が好きですか?」
「え?」


 え?
 おまっ!なんて質問してんだ!が困ってるだろうが!
 ぁああ!も迷ってないでさっさと「小さいシー君の方がいい」って答えろ!答えてくれ!答えてください!


「あ、えっと…大きいシー君も…普通じゃ見られないし、新鮮でいいかも…」
「そうですか?!ならこのままでもいいですか?!シー君、やっと国として自立してもいいですか?」
「別にいいんじゃない?」
「いいわけないだろうがぁああああ!!」


 バシーン!と、もの凄い音を立ててシーランドを殴るとから非難された。


「何やってるのイギリス!シー君がかわいそうじゃない!」


 バコーン!と、もの凄い音を立てて今度は俺がに殴られた。


「こいつが調子に乗ってるからだ(俺はかわいそうじゃないのか!?)」
「だからってそこまでする必要ないでしょ!」
「痛いですよ何するんですかイギリスの野郎!」


 うー…と唸りながら涙目で俺を見るシーランド。今は体が大きいせいか可愛さの欠片もねぇ。
 もぷくーっと頬を膨らませてこちらを睨んでくる…。こっちは、むしろ抱きしめてしまいたくなるほど可愛い。しかし今の状況においては俺の味方ではないのでいきなり抱きしめでもしたら日本直伝の空手で、俺が危ない。いくら俺が男と言っても、は相当の手錬だからな。


「シー君に謝りなさい!」
「うっ…」
「謝るですよ!」
「あ…」
「謝らないなら…」


 謝らないなら?


「シー君と一緒に出ていきます!」
「なにぃいい!ちょっと待て!思いなおせ!」
「いいえ、もう決めました遅いですさようなら!行こうシー君!」
「はいですよ!」


 うぁあやめてくれやめてくれ!せめてシーランドが小さかったらガキを連れて妻に家出されるとかそんな感じで迎えにいけるのに今はシーランドが大きいせいか他の男に自分の女が盗られた哀れな男みたいじゃねーか。しかもシーランドは中身は子供のままだからなのか何も考えずについていきやがって!っていうか見た目が俺似だからなんとも言えないこの気持ちはなんだぁああ!?
 もうこんな栄誉ある孤立なんかいらねぇから戻ってきてくれよーーーっ!



 うわぁ――――――――っ!




















 勢いよく飛び起きた俺の背中は汗でこれでもかというほどびっしょり濡れていた。
 目を覚ました俺は今までの話が夢であることを確認するように横を見ると小さいシーランドが横向きに丸まって寝ていた。俺の叫び声など耳に入らなかったのか、スヤスヤと眠るその顔はまるで天…使、だとかそんな風に思ってるわけじゃないぞ!とにかく小さいままのシーランドに俺は安堵した。
 が、部屋にの姿が見当たらない。まだ夢の中なのか?!と、焦った俺は部屋を飛び出しリビングへ向かった。


っ!」
「どうしたの?そんなに慌てて」


 何事もなかったかのように、ソファに座ってホットミルクを飲みながらテレビを見ているを見つけて、俺はの存在を確認するように抱きしめた。夢の中のは大きいシーランドとどこかに行ってしまったが、現実のは、俺の腕の中にちゃんと存在している。


「ちょ、ちょっと!どうしたの?」
が…」 
「私が?」
「どこか、行くんじゃないかと思ったんだ」
「私はどこにも行かないよ」
「…あぁ」


 コト、とテーブルにマグカップを置く音が聞こえて、その後にの腕が俺の背中にまわってきた。そして俺の背中を優しくさすってきた。


「なに?怖い夢でも見たの?」
「べ、別に見てねーよ!」


 と、言ってもは全部見透かしたように「どんな夢?」と聞いてくる。


「…たいした夢じゃない」
「いいから、ほら話して」


 に促されてしぶしぶ夢の始終を話すとは「何それー!超面白いんだけどー!」と言って、あははと笑った。
 さもおかしそうに笑うを見て俺は恥ずかしくなったが、


「確かに大きいシー君も見てみたいけど、でも、私が好きなのはイギリスだから…」


 この状況で、しかも優しい声で言うものだから、俺の理性はふっ飛んだ。


「悪い、…。我慢できねぇ!」
「し、シー君いるんだけど!」



夢見る男の脳内環境